粉塵爆発電網記憶
【SDGO】正式サービス開始!
- 2010-06-17 (木)
- 雑記
けっこう、熱い、シューティング
SDガンダムカプセルファイターオンライン、通称SDGOに最近ハマっています。
このゲーム、いわゆるオンラインのシューティング。いわゆるTPS(Third Person Shooting)ですね。かわいらしく(?)デフォルメされたガンダムのMS(モビルスーツ)を操り、敵を倒す、というものです。
公式サイトから無料で登録でき、プレイ料金も基本的に無料、課金アイテムで収益を図るタイプの最近よくある運営ですが、SDGOはバンダイ韓国が開発元で、韓国・台湾・香港では(国によって違いはありますが)すでに2年の運営実績があり、一番遅れて日本に「逆輸入」された、というものです。
4Gamerによる紹介記事を見てもらえば分かりますが、2010年4月からクローズドβテストを開始、私はつい最近、オープンβに参加していたのですが、ちょっとしたお試しのつもりが、内容の濃さと熱さにハマってしまい、今ではかなりやりこんでいる次第です(笑)。
とりあえず、動画とかMCA
すでに海外版が2年先行しているのでwikiも充実しています。
日本版wikiが最近立ち上がったようですが、日本版では未実装な要素も、海外版wikiを読めばある程度把握できる寸法でして、ニコニコ動画やYouTubeにはプレイ動画も数多くアップされています。
CFO基本テクニックまとめ(仮)という動画あたりが、SDGO(海外版はCFOと略するらしい?)の中級者以上が使うテクニックでしょうか。ここで紹介している「格闘キャンセル」がすごく面白くて、動画サイトで「SDGO MCA」で検索すると、超絶プレイ動画がぼろぼろヒットします。
MCAというのは、Multiple Chain Attackの略です。要するに「たくさんつなげて当てるテクニック」です(笑)。
これは、格闘キャンセル(クイック武器チェンジ)を利用して、近接攻撃を当てながら機体を移動し、敵の背後をとったり、カウンター技(必殺技=SA)を回避するというもの。キー操作的に、別段難しいことはなさそうに見えるのですが、ダッシュ+移動+キャンセル&攻撃操作を同時に行わなければならず、連続して成功させるにはかなりの熟練が必要くさいですね。
通常、キーボードの数字キー1~4か、マウスホイールで武器を選択できるのですが、MCAをはじめとするキャンセル技に挑戦するなら、武器選択はキーボード操作一択になると思います。
その操作は…
1(近接・格闘武器)→2(中距離射撃武器)→1
というもの。
まぁ武器チェンジはキーボード数字キーを「ぽん、ぽん」と打つだけなので難しくありません。しかし、実際のMCA操作は…
1攻撃(1~3回)→2(持ち替え操作)+ダッシュ(w,a,s,dキー2度押し)+ターン(マウス操作)→1(持ち替え操作)→1攻撃
となります。
ぶっちゃけ、一度はマクロにできないか試したんですけど、機体によってタイミングが違うし、状況や出したい技によっても違ってくるので、マニュアル操作に専念しています。あ、パッドでこれやるのはまず不可能でしょうね。
というか、ほぼキーボード操作に最適化されているゲームなので、パッド操作ではエイム(照準)が圧倒的不利になり、対戦モードなどで餌にされてしまいます。ゲーミングマウス&同時押し対応キーボードが推奨されるゲームだ、と断言していいでしょう。
クランも開設!
クランというのは、SDGO内でチームとかギルドなどと同じ意味に使われる用語です。
そして我がクランのリーダーは「某しっぽのひと」なので、クラン名も「尻尾」だったり(笑)。現在メンバー数13名ですが、全員がPSUの3Fメンバーだったりしています。
対戦モードには「クラン戦」もあり、恐らく海外版から先行プレイ(または平行プレイ)している猛者がうじゃうじゃいるので、なかなか勝てませんが、シビアなTPSをプレイしている感じがとても熱くて、日々暇を見つけては修練しています。
つまらないバグがあったり、運営サイドに批判もありますが、それはどのネットワークゲームにもつきもの。いまのところ、ひどく大きな不満はないので、まだまだ深みにハマれそうな予感がしますね(笑)。
最後になりますが、私のプレイヤーニックネームは「ヒキニク」です。
けっこう野良もしていますので、ばったり会ったら生温かく相手してください!
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【ゲーム開発】ノベル版966Universe #1-02
- 2010-05-27 (木)
- ノベル版966
シーン0:ケンジは傾いたベッドで目を覚ました。
朝…。
一年中閉ざしたままのカーテンから光が漏れ、部屋の一部を照らしている。
決して安物ではないカーテンの柄は黄色い花柄で、ところどころすすけていた。何年も前に去って行った女がそれをしつらえたのだが、女の名前はうろ覚えだ。確か、ミサエといっただろうか。
枕の横に手を伸ばし、惑星公社からのメールをモバイルで確認する。もちろん、着信はなかった。
「……」
恒温フォームの半流動熱源がへたり、クッションの役目を果たさなくなったせいで、ベッドの寝心地は常に、おそろしく悪かった。長く寝ていると、必ず腰痛になる。それでも、目を覚まして日常に戻るよりはベッドにいたほうがいい。
軽い偏頭痛を感じた。
仕事ができないほどのことではない。
むしろそういう痛みや不調があってこそ、自分が生きてることを僅かながら感じる。買ってから一度も洗濯していないシャツが壁にぶら下がっている。ケンジはそれを恨めしそうに眺め、やっとのことでベッドから起き上がった。
<さぁ、起きろ>
声には出さずにケンジは呟く。
そうでもしないと、なにをする気力も湧いてこない。このまま、この狭い部屋の中で枯れていく。それこそが自分に最も似合う生き方だと思うのだが、そんな惰性に埋没する勇気もないのだった。
壁にかかったままの白いシャツに袖を通す必要はない。ネクタイも、金色をした真鍮のボタンも必要ない。Tシャツに、ジーンズ。それで十分だった。シティの気候は穏やかで、完全にコントロールされている。
食品工場に行って、オートメーションで運ばれてくるクローン深海魚のすり身を固めたソーセージを仕上げるのが今の仕事で、完全に均一過ぎる製品に、ケンジは手で<ゆらぎ>を与える。それがどんな意味を成すのかは考えたことがない。とにかく、市場が求める個性とはそういうものらしかった。
「おはようございます、ケンジ」
GP03は型の旧い生活支援AIで、原隊に所属していた頃に支給され、そのまま私物になった。掃除や洗濯といった、日常的な作業とは無縁なケンジが最低限の清潔さを維持していれるのはGP03のおかげだった。
「トーストを食べますか?ケンジ」
年金の一部として支給される小麦粉やバターをストッカーに放り込んでおけば、主食はGP03が調合し、調理してくれる。古ぼけているとはいえ、独身の軍属が不便のないように用意されたコンパートメントなので、ここに住んでいる限り、ある程度の文化水準が維持されるのだ。
広大な工場のど真ん中に、青い合成繊維製の作業着を着たケンジの作業場がある。作業着には光触媒塗料が塗りたくられていて、埃や雑菌が付着しない。油圧で動作するダンパーや大型モーターの作動音と共に、ラジオ放送が聞こえてくる。DJの名前はMJといって、相当のベテランだ。
ケンジはマニピュレーターに手を差し込み、眼前に展開する立体映像を見ている。およそ30秒に一度のタイミングでラインから魚のすり身をペースト状にして固めたものが降りてきて、ケンジが手をこねる動作をすると、無数のホイストから伸びるロボットアームがその動作を少しずつタイミングや角度や力加減をずらしてトレースし、製品を仕上げていく。
寸分たがわず、まったく同じ形をしていたカマボコに似たソーセージの群れは、そうやって<個性>を与えられ、パッケージラインに去っていく。
人によっては、そんな無人の工場をさびしいと感じるだろう。あるいは、耐えられないほどの孤独感を味わうかも知れない。
だけど、ケンジはその数倍か数十倍、いや数百倍か数千倍にもなるだろう孤独感を知っていたし、それを辛いと感じたことはなかった。またそれは、キョウヅカフーズのフィッシュパティの評判を高めるという、プロ意識や企業への帰属意識ともかかわりのないものだった。
暗闇でも狩りができるという獣でさえ、そこではなにも見ることができない、本当の闇。連星系の月の裏側に位置する重力安定点に設置された狙撃用衛星の観測窓から見えるものは、少なくとも可視光線の範囲ではなにもない。
宇宙背景放射監視センサーから送られてくる僅かな変位を、有意なもの、無意味なものに支援AIが仕分け、有意と思われる変位があったときには、それが目標物による変位かどうかを判断する。それ以外の時間は、ただひたすら無為に過ぎていく。
それが、かつてケンジに課せられた任務だった。
たった一人で何千時間もの間、絶対零度の闇の中に潜む。そこにはなんの人間性も必要とされない。一種の<マシン>となり、ひたすら変化を待つことがすべてなのだった。
テクノロジーの進歩とは、基本的に自動化である。自動で追尾するミサイル、自動で迎撃する対空砲、自動操縦される戦車、航空機…やがて状況を認識し推論を行う戦術AIが生まれ、攻撃システムも迎撃システムも高度な自動化が施されると、それらを欺くためのステルス技術が発達し、またそれを見破るための監視システムが進歩するという堂々巡り。
やがて生物学的コンピューティングの台頭により、カオス・スタティクスシステムが構築されるに至ると、計算された混沌による都市型テロリズムや要人暗殺プログラムが蠢くようになり、さらにそれらを予測し防衛するための戦術AIが組み上げられ…という無限ループを見るに至り、最後には勘やインスピレーションというものさえ計算される始末を生んだ。
そして…人類は結局、ヒト脳が持つ<あいまいさ>や<気まぐれ>を補完してくれるはずの支援システムに絶望し、ヒトそのものを前線に送り込むことでしか、対処できない問題があることを痛感したのだった。
ケンジの部隊は、そうしたテロを予測するか、あるいは誘発させることを目的にした少数精鋭の部隊だった。
それは、超高度な隠密行動や諜報活動を通じて、要人を暗殺したり、敵中枢を破壊することを目的にした組織…だからこそ、隊員同士の人間関係というものは恐ろしいまでに希薄で、任務も単独行動が主体となる。
旧火星政府によって設立された特殊部隊、コードネーム<カノン69>は同様の敵部隊をことごとく粉砕し、劇的な成果を遂げた。ケンジはその部隊の忠実なパーツとして働き、いくつもの超・超距離狙撃を成功させた。絶対変調限界と呼ばれる、人間の精神が耐えられるであろう極限を、遥かに超えたところにある過酷な任務に耐えたケンジには、たとえ除隊しても永久保証される特別待遇さえ与えられた。
だが、あまりに劇的な成果は必ず反動を伴う。
部隊結成から2年後、まず最初に、部隊長に兆しが現れた。
彼は、最長144時間というサイバースペースへの異常な神経接続の継続を行い、神を見た、とメモを残して姿を消した。続いて、ケンジの直属の上司だったスパイク中尉が火星の衛星軌道上で謎の餓死を遂げ、やがて残る9人の隊員全員が監視対象になった。
火星国家保安局の監視対象にされてから3ヵ月後、隊員の一人だったコーテンが大事件を起こした。コーテンは地球の銀行システムに自らが開発した破壊ウイルスを注入し、預金システムそのものをバックアップまで含めて崩壊させた。いわゆるセキュリティホールを衝くというよりも、そのウイルスはセキュリティホールを穿つというタイプの<なりすまし>プログラムで、入念な準備と内部情報を保持していなければ作れない種類のものだった。
結果的に、コーテンは歴史上最大の大恐慌を引き起こした。損害額はまさに天文学的規模であり、無数の企業が倒産し、もっと数え切れない数の破産者を生み、自殺者が急増し内乱や暴動さえも引き起こした。
しかも、コーテンはそれを与えられた任務だと主張し、部隊の信用を完全に失墜させると、銀行システムを破壊したウイルスに惑星間特許を申請し、莫大な裏マネーを手に入れ、資金力をバックにアンダーグラウンドに潜伏してしまう。
特殊部隊カノン69にとっても、ケンジにとっても最後の任務、それは姿を消したコーテンを抹消することだった。
火星国家保安局と地球政府との共同作戦の形で、ケンジは地球に赴任した。フィラデルフィア、アムステルダム、そしてピョンヤン。コーテンの手がかりは点在していたが、どれも関連が希薄な、いわば無意味な座標上のポイントに見えた。
<これは、諜報部に対する挑発だな>
火星保安局も、地球の戦略情報局もそれを確信していた。しかし、ケンジだけは異論を唱えた。
「きっとこれは、本当に無意味な点です。コーテンの精神は完全に狂っていて、だからこそ完璧にランダムに行動しています。これらの形跡を追うことは恐らく無駄ですし、分析することも無意味です」
旧CIAとMI6局員からなる地球の組織はケンジの主張に露骨な嫌悪感を示した。しかし、中立姿勢を崩さない火星保安局はケンジを黙認し、思うがままに行動させる方針を保った。
やがて、極東の都市<センダイ・シティー>でケンジはコーテンを発見した。コーテンはそこで精神病院を買い取り、自ら入所していたのだ。少なくとも、ケンジがコーテンの所在を突き止めた時点で、コーテンの人格は消失していた。それを強度の自閉症と診断することは可能だったが、未曾有の経済危機を経験した地球当局はターゲットの身柄拘束を強く要求していた。
しかし…ケンジがコーテンの発見を報告してからきっちり60秒後、ステルス監視を続けていた火星保安局員が施設に強行突入した。そして、入所していた患者も職員もまとめて<消去>してしまった。
この処置に対し、火星保安局の強攻策は独断、かつ強引過ぎると地球当局が猛然と抗議すると、火星側はスケープゴートとしてケンジの身柄をあっさりと引き渡した。カノン69を追えるのはカノン69だけ。カノン69が消滅した時点で、ケンジの存在価値は消失していたのだ。
2万6785個という<日課>をこなすと、ケンジは就業時間を終えた。
ブザーやチャイムが鳴るわけではない。手元のカウンターが今日の予定が終わったことを表示するだけで、特になにも変わりはない。
軍属ではなくなった身の上だが、軍が所有するコンパートメントで暮らし、食品加工工場で働く毎日。雑踏を歩くと、なにかが見えることがある。なにが見えているのかは分からないのだが、とにかく何かがそこにある。仕事を終えるとケンジは目的もなく街を歩き、ふらつくことにしていた。
それは、火星宇宙軍に所属していた時代からの習慣で、いつの間にか身につき、離れなくなっていた。恐らく、それが余暇というものなのだ。任務を離れれば、なにか日常的でどうでもいいことに埋没する。そうすることで、精神を健全に保つことができる。
コンビニエンスストアではなくスーパーマーケットに行くのは、陳列棚がより大きいからだ。<スーパーマーケットは素晴らしい、美術館より素晴らしい>と、前時代の芸術家が云ったそうだが本当だ。思い思いのデザインを施したパッケージが並ぶシリアル食品のコーナーを眺めると、中身はほぼ同じものだというのに、なんと壮大なバリエーションが生まれるものか、と驚かされる。
「いらっしゃい」
ケンジの顔を覚えている店員が、フライドチキンを棚に並べながら挨拶をしてきた。チキンは、クローン鶏だが、味はいい。
「タイムサービスはまだですが、少しサービスしますよ」
店員は、エプロンのポケットからマジックを取り出すと、紙包装に値段を書き込み、自分のIDがついた紙片を貼り付けた。手渡された紙包みは暖かく、少し油がにじんでいる。
「ありがとう」
微笑み、ケンジは礼を云う。
こんな風に買い物を勧められて、断ったことがない。服でも、食品でも、本でも、薦められればすべてそれを買った。逆に、そうされないとなにを買えば良いのか分からなかった。
主食用の材料はGP03がすべて注文してあるので買う必要がない。軍属時代から浪費というものをしたことがないので、預金は十分にあった。その気になれば、多少の贅沢をしても問題ないだろう。
買い物は店内の至るところにあるセンサーがチェックしていて、形式だけのレジの前に進むとフローティングスクリーンに明細と金額が表示され、確認エリアにタッチすれば与信から引き落としになる。現金で決済したい場合は、前時代同様の手続きが必要になるが、係員が不在なことが多い。
その、形式だけのレジ手続きに戸惑う初老の女性がいて、出入り口付近が若干混雑していた。女性は明細に表示される商品と、自分が購入した商品が違うと云っているようだった。
こんな風に、日常にはちょっとしたバリエーションがある。だいたいまったく同じなのだが、ほんの小さな領域では、意外なほど変化がある。ミクロとマクロの問題だ。ケンジにはマクロが見えない。見ようとしない。
ようやくレジに進んだケンジの隣に、男が並んだ。
男は微笑み、ケンジに会釈をする。
「ケンジさん、ですよね?」
男の顔はバイオ整形で得た平均顔で、ひどく整っている。整いすぎているので、のっぺらぼうに見えるほどだ。そういう顔をした人間たちを、ケンジは良く知っていた。男は間違いなく情報局サイドの人間だ。
「惑星公社の人かい?」
否定することなく、ケンジは聞き返した。
男は、口の端で小さく微笑む。その微笑は冷たく、爬虫類を見ているようだ。
「惑星公社は私のクライアントでしてね。困難なミッションに対して、最適な人材をスカウトするのが私の仕事なんです」
「困難なミッション…最適な人材…」
ケンジが呟く。
「ときめくでしょう?ふふ」
確かに、ケンジは毎朝惑星公社からメールが来ないかと心待ちにしている。軍属を抹消され、今は惑星公社の登録要因として一種の予備役に甘んじている身だ。ケンジが待ち望んだシチュエーションが目の前にある。
「戸惑ってます?戸惑ってますよねケンジさん。まぁ、理解できる反応です。でも、戸惑っている場合ですか?今…」
「……」
フライドチキンを勧められて断る理由がないように、トカゲ顔の男の誘いを断る理由もなにもない。
「どんな…ミッションなんだい?」
ケンジは再び聞いた。
「欲しいのは、イエスかノーなんですけどね。まぁ、いいですよ」
男は古風なカードを胸のポケットから差し出した。名刺である。
「エリノール機関?聞いたことがない」
男の名刺によると、名前はカクワネ。本名ではなさそうだ。
「聞いたこと、ないですよね。無理もない。なにしろ発足してから6週間ですから、さすがのケンジさんでもご存知なくて不思議はありません。さて、話すと長くならざるを得ません。場所を変えませんか?」
確かに。ケンジは頷いた。
なにもスーパーマーケットのエントラントで話の詳細を聞きだす必要はない。男の案内でパーキングに出ると、そこにはルノー製ランナバウトが待機していた。ランナバウトは水陸両用で、タイヤ部分を収納して輸送機に積載することを想定した万能車両だ。都市部でそれを見ることは滅多にないが、金持ちが道楽で転がしていることがある。
「話の前に…それ、実は気になっていたんですけどおいしそうですね」
車には運転手がいた。助手席にも、もう一人。カクワネはケンジの買い物袋を指差している。
「3本入っている」
ケンジはそう云った。
運転手と助手席の男にもチキンをやると、ひとつ足りない。
「そこの二人を数える必要はありませんよ、ケンジさん」
カクワネが微笑む。やはり爬虫類だ。いや、両生類かも知れない。無表情に見えるが、食欲はそうとうなものだ。今にも長い舌をびゅんと伸ばして、チキンを絡み取りそうに見える。
「じゃぁ、食えよ」
チキンを手渡すと、文字通りむしゃむしゃとカクワネが平らげる。骨まで食べるのかと思ったのだが、さすがにそれはなかった。
「もうひとつ、食うか?」
ケンジが云うと、カクワネの表情が変わった。
「やってもいいが、ひとつ正直に答えてくれ」
チキンの袋を差し出すかに見せて、ケンジはそれを引っ込める。カクワネはついに怒りの表情を見せるが、すぐに平静を装う。
「正直?私はさきほどから嘘は云っていませんが」
今にもよだれを垂らしそうな顔になったカクワネは、手をこねるようにじれている。
「エリノール機関のエリノールってのは、あんたのことじゃないのか?」
「…わ、私はただのカクワネですよ…」
あからさまにうろたえるカクワネに、ケンジは続ける。
「エリノール機関というのは確かに初耳なんだが、エリノアだかなんだかっていう諜報員のことは聞いたことがある。確か木星周辺をテリトリーにしていたはずだ」
「ふん…さすがは特殊部隊カノン69の生き残り…ですね」
今度は明らかに楽しそうな笑顔を見せ、カクワネは自分の頭を撫で回す。すると、ワックスで固めていたらしい髪が、激しく踊り始める。
「髪質がですね…生まれつきこんななのですよ」
「アフロ…か。最近は流行していないそうじゃないか」
「流行とか、関係ないんです!」
短く叫ぶと、カクワネはケンジの手からフライドチキンの紙包みをもぎ取り、むさぼりつく。
「この匂いだけは…この匂いだけは…たまらない…たまらないんです!」
結局、チキンは3本ともカクワネの胃袋に消えた。
「なにはともあれ…ケンジさん。信用してください。エリノール機関は実在しますし、設立してから日が浅いので活動実態がないのです。カクワネというのは私のコードネームのひとつで、エリノアもエリノールもそのバリエーションに過ぎません。本名というものになんの意味もないことくらい、ケンジさんもご存知でしょう」
ああ、分かったよ。ケンジは頷く。
やがて、ルノー製ランナバウトはある建物のエントランスにたどり着いた。
「ここは?」
「我がエリノール機関の地球支部…もともとは木星開発機構が入居していたビルです。もっとも、所有者は地球の国連ですけどね」
外見上は普通の雑居ビルにしか見えない。下の階層にはレストランやバーが入居し、美容室や銀行も入っているようだ。
「それでは、ブリーフィングを開始しましょう…っと、その前に、本ミッションのクライアントをご紹介しておかなければなりませんね」
カクワネ・エリノールがそう云い、オフィスの奥から一人の男が姿を現した。
男の顔は、ケンジにとって忘れたくても忘れられない顔だった。
つづく
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【ゲーム開発】ノベル版966Universe #1-01
ノベル版はじめました!
3Dアクションシューティングゲーム(TPS&FPS)として開発作業に着手しているProject966ですが、きちんとした設定を書いておこう…と思ったら、なんだか筆が(?)すすんでしまい…けっこう骨太な小説くさいものができあがりつつあったりしちゃうので、これはもうノベル版966Universeとして発表しちゃえ!と勢いづいちゃいました。
最終的には、ひとつのノベルとしてまとめなおし、DLサイトで商品化しようか、などとも考えています。また、いわゆる「ノベルゲー」として焼きなおすこともできそうです。それ以外にも「NAN久々のネット小説」として捉えていただくことも可能ですので(笑)、いろんな意味でお楽しみいただけるのではないかと!
なおいつものお題目・・・として、本編はフィクションであり、登場する固有名詞、人物名、団体名などは、実在の団体名、人物名とはかかわりのないものです。以上!それでは、序章です。
シーンマイナス1:『ゲームじゃ、ないんだ…。』
警報がけたたましく鳴り響き始めてから、異変に気付くまでの間、エクレールは友達に組み上げてもらったLANパーティ用の自作デッキで、民生用仮想現実空間…つまりサイバースペースに接続しながらオンラインゲームに没頭していた。
そこは、精巧に組み上げられた旧時代の地球の都市だったり、想像上のスペースコロニーや地球型惑星、あるいは空想世界の魔法と妖精の国、天国や地獄など、ありとあらゆる時代・文化・文明がごちゃ混ぜの世界でもある。サイバースペースは、ロールプレイの場所であり、第二の生活拠点であり、もうひとりの自分や時には真実の自分が暮らす世界でもある。
度重なる事故の影響で、体感システム、いわゆるフィジカル・フィードバックには厳しい制限が設けられ、エンターテイメント用のサイバースペースには軍用・企業用・研究機関用ほどの<強い>フィードバックコードは存在しない。それでも、簡単な接触感や擬似重力は十分に感じることができたし、ローカルで<その他の感覚コード>を発生させ、神経接続に割り込ませるというチートデバイスは存在する。
そうした<違法ではない違反ディバイス>の代表は、痛覚と快感に作用するタイプの接触感覚増幅カードで、エクレールのサイバースペースデッキには、最初からLipzoneと呼ばれる高性能カードが挿入されている。
通称<ロスユニ>として知られるLost Universeの世界は、荒唐無稽なSF的ミリタリー世界。エクレールはそこで、恒星間宇宙船の航路を守るガーディアンとして様々な任務に赴く。
今週はイベントウイークの初日で、大規模な<戦争状態>を想定したサーバー間トーナメントが開催されているため、接続者数も膨れ上がっていた。
エクレールの所属する第6サーバー<リコ>は、比較的温厚で専守防衛的プレイスタイルを持つプレイヤーが多く集まる場所であり、同様の嗜好を持ついくつかのサーバーと同盟関係にある。一方、強い攻撃性を持ち侵略戦争をこよなく愛するプレイヤーが集まるサーバーとして<キリク>がロスユニ世界の強豪として名を馳せているが、リコのゲームマスターは同盟サーバーミーティングでキリクに対する防衛ラインの展開を提案し、大規模な同盟部隊による待ち伏せ作戦を展開していた。
エクレールのアバターである<えくれあ>は、この作戦の中でステルス装置を備えた小型宇宙船で敵の拠点のひとつに潜入し、おそらく使用されるであろう違反外装の偽装を解除したり、無人BOTの<裏切りプログラム>を混入させるなどの陽動作戦に就いていた。基本的に地味なミッションだが、成功報酬は高く、戦闘没発時には大きな効果を出せる。エクレールはこの手の緻密なミッションが好きで、自ら志願してこの任務に臨んだのだった。
数名の仲間とキリク側の宇宙要塞<スクリーミング・フィスト>に取り付き、侵入したエクレールの8人からなる小隊は、そのまま宇宙港に向かうアーケードを歩いていた。基本的に、戦闘状態にならなければ見た目だけでそれが敵であるかどうかを判別することはできない。逆にいえば、今誰かがミスをして戦闘状態になってしまうと、敵陣の真っ只中で小隊は孤立することになる。エクレールは緊張を隠して、キリク側サーバーの住人たちを観察していた。
「なんてうかアレですね、不気味なひとが多いですね」
と、アカイヌが笑う。
<きみもじゅうぶんおかしいけどね>
と思いながら、えくれあは笑い返した。
えくれあのチームメイトであるアカイヌは、キャラ名が示すとおり、赤い服にケモノ耳が特徴的な外装で、おまけに手足には<肉球>がある。
それは、地道なソロ用ミッションで入手したアバターの遺伝子変異コードを使って、数千回に及ぶ試行錯誤でやっと入手した<身体的特徴>なのだが、獣人種族でもないのに肉球を欲しがるプレイヤーは稀すぎて、オークションでは捨て値しかつかなかった。
<悪魔の羽>や<悪魔の尻尾>、<蛇の眼>や<イカの頭>など、およそリコサーバーでは見られない外装を持つプレイヤーが闊歩するキリクサーバー側の住人は、基本的に好戦的でケンカも絶えない。発覚すればアカウントを削除される違反外装やDUPEなどの規約違反も辞さない連中が集まっているのだ。
「とりあえずBOTを捕まえて裏返しちゃおうか」
えくれあが発案すると、ささやきチャットに賛成票が集まる。
いわゆるNPCであるBOTは、宇宙要塞のあらゆる場所にいるが、ミッションを受託することで<雇う>ことができる。BOTを動かしているのは、学習機能つきの簡易AIプログラムで、一緒にミッションをクリアするごとに<関係性ポイント>が増加し、好感度や不満度が上下する。
裏返す、というのはこのポイント制度を利用して敵側BOTの好感度をMAXまで上昇させたあと、レアアイテムである<裏切りチケット>を渡して、自陣のBOTとして寝返らせることを指している。
小隊はさらに細かく分散すると、二人ずつのペアとなって小規模ミッションを受託し、BOTの好感度を上げる作業に没頭していた。
アカイヌと一緒に<見上げる丘>ミッションに出発して10分後のことだった。
突如、サイバースペースの<景色>が乱れはじめ、続いて音声が不鮮明になり、時にはループした。
<?>
えくれあの意識ではなく、エクレールの思考が、なんらかのネットワーク障害を思い起こさせた。もしかしたら、キリクサーバーの違反ユーザーによるクラック行為やDOSアタックかも知れない。だけどそれなら、すぐに復旧するはず。
ぼやけて幾重にもぶれている視界の中で、アカイヌが丘の上からえくれあを見下ろしている。えくれあから見るアカイヌの姿はぼやけているけれど、動作は正常そのものに見える。すると、これはエクレールのローカル問題なのか。
再びアカイヌを見ると、彼の背後には小型だけど強暴なナナイロガニがいて、アカイヌはまだ気付いていない。警告をしてあげたいのだが、えくれあの声は出ない。レオという名前の屈強そうな体つきをしたBOTはまだ<なついて>いないので、呆然とそれを見ている。役立たずのNPCめ!とエクレールの思考が罵声を浴びせたとき、接続が完全に切れた。
「…」
予告もなく神経接続が中断されると、サイバー酔いでしばらくフラフラする。赤い光の点滅。騒々しい警告音。平衡感覚がおかしくなっていて、まるで戦闘状態になった小型宇宙船の艦橋にいるみたいな感覚。
「なんだろう…」
こめかみに固定した<脳バンド(と呼ばれている)>を外し、両手の<手袋(と呼ばれている)>をはがすのにてこずりながら、エクレールは部屋の中を見回した。壁の上半分に埋め込まれた照明ボードの明かりが消え、天井に備え付けられた非常灯が赤く輝き、点滅している。鳴り響いているのは非常訓練で聞き覚えのある警告音だけど、一段とボリュームが大きいようだ。
サイバースペースデッキのモニタには異常の兆候がない。
ネットワークからニュースや情報を仕入れようとしたが、エラーが出てつながらない。やはり接続障害があるようだ。しかしこの部屋には、それ以外に外部の様子を知る方法がなかった。
と、エクレールたちが住む住居ブロックで物音がした。
「母さん?」
研究室勤めの母・トミコはどうしているだろう。
もしかしたら緊急事態でここに戻っているかも知れない。足元に散乱するコネクターを踏みながら、エクレールはリビングへ繋がるドアへ急いだ。
「…な、なんだって!?」
住居内のテレビも電話も通じない。呆然としながら、エクレールは受話器をフックに戻した。警告ランプの原因も、警報音の理由も、なにも分からない。ただ、ものすごく異常な事態であることだけは、はっきりと分かる。
母の姿もなく、状況はまったく分からなかった。
仕方なく住居ブロックを出たエクレールが見たものは、無数の血痕と肉塊が転がる回廊の様子だった。
「こ、これは…」
サイバースペースの戦場では、よくある光景。だけど、今エクレールが眼にしているものは、それとは違うものだ。まったく異質な、日常が壊れた景色。途方もなく濃密な恐怖が空気に充満してる。むせ返る血の匂いで鼻の奥がおかしくなる。あくまで<グラフィック>の赤とは違う、本物の肉が落ちている血だまり。色が黒ずみ、ドロドロしているのは、血が凝固しかかっているからだ。なにか途轍もなく強大で凶暴なモノが、暴れた痕跡。
<母さん…>
母の身を案じたのか、それとも母にすがりたかったのか、エクレールの脳裏にはそれだけがあった。とにかくここにとどまってはいられない。
一歩進もうとすると、ねばねばした血が靴の裏に張り付いて嫌な音をたてた。
比較的損傷の少ない<ひとだったもの>が倒れている。衣服からいって、それはマサオだ。12歳のマサオは自分が年上だという理由だけで威張り散らすイヤなヤツだったけれど、今は首から上がなくなってしまった。
マサオらしき死骸から眼を逸らし、さらに進んで行くと、胴体や手足の残骸は落ちていても、首から上はひとつもなかった。
「フェイス…イーター?」
ヤスリで背骨を削られるような悪寒がエクレールを包んだ。
それは、人間の顔が大好物という恐ろしい怪物。
いつかホラー映画で見たそれは、エクレールのトラウマとなっていた。
<Minamo>というタイトルがついたゾンビを題材にしたその映画は、低予算ながら秀逸な出来で評判になり、怖いもの見たさのオーディエンスを虜にした。思い出す。エクレールは、9歳のときにサイバースペースシアターでそれを見た。目の前に迫る映画クリーチャーの恐ろしさに、失神して強制接続解除されたのだ。
<でも、あれは映画だし…>
しばらく歩いたせいで、血のりは取れたはずなのに、それでも靴はよく滑った。きっと血液に含まれる脂がとれていないのだろう。
何度も転びそうになりながら、エクレールは廊下を進む。ドアが開いたままの住居ブロックのすべてから、血の匂いがしていた。生存者がいないか調べたい気持ちはあったけれど、部屋を覗く勇気が足りなかった。それに、まだどこかに化け物が隠れているかも知れない。
映画Minamoのミナモとは<水面>という意味だそうだ。
水面に広がる波紋のように、恐怖が伝播していくことをイメージして、映画のタイトルになったのだという。
ゾンビを題材にしたどの映画でも同じことだが、ゾンビ、いわゆる不死人(アンデッド)は、ウイルスや魔術や呪いでもともとは人間だったものが変異して人間を襲うようになる。ゾンビの材料はなんでも構わない。犬ゾンビやその他の家畜型動物ゾンビはすぐに思いつくが、ノミゾンビでもクジラゾンビでも構わない。
Minamoが面白かったのは、さらにゾンビ同士が融合したり進化したりして、ある種の環境適応を果たし、特殊な性癖や行動を示すこと、さらに見た目が、よくできた<デザイン>をされていたことだった。
ロスユニ同様のサイバースペースオンラインゲームでも、ゾンビが登場するタイトルはいくつもある。さらに、カルトとして主人公がゾンビというキワモノも存在し、ゾンビ育てゲーやゾンビ恋愛シミュレーション、ゾンビ世界征服などというマイナーゲームにも意外なほど根強い人気があるのだ。
どこもかしこも赤い警告灯と非常灯が照らし出す回廊を進むのは大変だった。主電源が落ちていて、非常電源しか供給されていないのだろう。
「もうすぐだ」
ゲート11を過ぎれば、居住区からメイン研究ブロック、宇宙船発着デッキ、エネルギープラントなどに通じるジャンクションに抜けられる。
通常、ゲートは閉鎖されているが、ID認証を通過すれば非常モードでもゲートの開閉は可能だった。
<よし、ちゃんと作動する>
巨大なゲート脇に設置された網膜認証は、完全に電力供給が停止しない限り作動する。しかし、ゲートを開ける電力は落ちているので、個別ゲートを開閉するための手動ハンドルを回さなければならない。
「よっと…」
黄色い三角マークがプリントされたハンドルボックスの樹脂蓋を叩き壊し、エクレールは折り畳みハンドルを展開する。ロック解除されているのでハンドルは素直に回ってくれるはずだ。無数に分割されたゲートの1区画をこれで開閉することができる。
クランク式のハンドルを回すのに、それほど大きな力は必要なかった。ギアの関係なのだろう、かなり回転させないとゲートを構成するシャッターはなかなか開いてくれないのだが、それほど大変な作業ではなかった。
<ここに保安基地があるよね>
そこには訓練された保安部員がいて強力な武器があり、高出力のバッテリー式無線機や無人ホイストによるコロニー内監視システムの制御コンソールも備わっているはずだ。
「よし」
例のごとく暗がりに赤い照明の点滅が眼にうるさかったけれど、ゲートを背後に10メートルほど進むと、保安基地の出入り口があった。
大した運動をしたわけでもないのに、エクレールは息切れをしていた。ひどい緊張と不安が、バイタルを悪化させているのだ。
<まずいな…眠くなってきちゃった>
どこでも眠るエクレールの性癖は、いつも周囲を驚かせる。場所も、状況も関係ない。わざわざ自分で選択した軍事教練の初日に、教官の訓示を聞きながら居眠りしたこともあった。
果たして…エクレールは自分以外の人間の<顔>を、久しぶりに見ていた。
「……」
声は出ない。悲鳴も、泣き声も出ない。
頑丈な重金属で出来た保安基地の中には、20人ほどの保安部員がいた。しかし彼らは、その強力な装備で互いに殺し合い、全員死んでいた。
恐らく、同士討ちになって殺し合いをしたのだろう。
なぜ?
エクレールにはもう答えが分かっていた。
彼らは、仲間の中に敵が紛れていることを知っていたか、疑ったのだ。結果は、どっちでも同じだろう。とにかく、そういう疑心暗鬼がパニックを生み、誰か一人が仲間を襲い、それが連鎖した。
胸に大きな穴が開いた保安部員の隣で、エクレールは脱力してしゃがみこむ。大きな扉の上方には、小型宇宙船ハンガーのフレームが連なっているのが見えた。その幾何学的な繰り返しはエクレールの脳裏にサイバースペースの宇宙要塞を思い出させる。
<こんなことなら、ずっとロスユニにいたほうが良かったのに…>
ひどい眠気がエクレールを襲い、血の匂いも赤い警告灯も気にならなくなる。相変わらず鳴り響くサイレンにも慣れて、むしろ心地よいくらいだ。
「ゲームじゃ、ないんだ…。でも今は…すごく、眠いよ…」
それ以上、エクレールは目を開けていることができなかった。
つづく…
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【L4D…というか】雑記:勝チノ価値
- 2010-05-09 (日)
- L4D
対人対戦は苦手な理由
親しい仲にはよく話しているけど、私はやっぱり対人対戦ゲームが苦手だなぁ、とつくづく思います。L4Dでいう対戦モードもそのひとつ。
でも、その理由をきちんとまとめていなかった気がするので、ちょっとここに書いておこう、と思いました。
それでは…いきなり矛盾しちゃいますが(笑)、実は私、いわゆる「格闘ゲーム」は大好きです。ええ、相手が「ヒト」であってこそ、それは面白いと思います。これまでメジャーになった格闘ゲーには全部ハマってきましたし、VF2あたりが全盛の頃は、よくゲーセンで対戦相手を求めていたものです。そしてコンシューマ機にそれらが移植されると、自宅や友人宅、果ては職場でまで、余暇を使って遊びまくったものです。
もともと、幼い頃から競技選手をやっていたので、勝負ごとそのものにも慣れていました。ただし、私は個人競技には夢中になれたけれど、団体競技は苦手でした。まぁそれでもサッカーはかなり長くやっていましたが…。とはいえそのサッカーも、かなりの部分が<おたのしみ>でしたし、勝つとか負けるとかより、どんなプレイができたかを満足したり反省したりという、かなり個人戦な趣だった気がします。
恐らく、もうそんな子供時代から団体戦<勝負>が苦手だったんで、今も苦手なんでしょうね。コレが今もなお続いていて、ネトゲでも似たような感覚を味わってしまうんだ、と思います。
苦手は<嫌い>ということでも…ないんだよね
章題どおり。
たとえばサッカーで<勝負>することは苦手なんですけど、サッカーをみんなでプレイすることは大好きなんです。わがままですね(笑)。
コーナーからバナナでどんだけ曲がるかな、とか、今日は一発オーバーヘッドしてやれ!とか、なんだろう…そぉいう無茶ができるじゃないですか。恐らく、そんなことをしても勝敗には決して絡まないだろうし、チームからほめられることもないだろう…どっちかというと無駄だし、失敗すれば味方をどんどん不利にするかも知れない。それでも…なんだか体が求めてしまう。それはきっと、目立ちたい、とかそういう気持ちではなくて、バカなことに挑戦したい、という本能的な欲求です。結果、目立とうが埋もれようがそんなことはどうでもいい。ただ面白いことができれば、それでいいんです。
しかしこれが、個人競技である水泳(競泳)やスキーのタイムトライアルとなると話は変わってきます。
まず、どんなスポーツにもタイムを出すためのセオリーというものがあります。たとえば余計なキックを控えて最大限の推力を1キックで得よう、だとか、コーナーリングは理想楕円を心がける(アウトインアウト)だとか、そういうことです。
ところが、そういうセオリーというのは競技選手の誰もが耳にタコができるほど教えられているだろうし、体にしみこんでいるものなので、そこから一歩踏み出す<挑戦>をしないことには、勝つことはできません。逆に云えば、その程度のセオリーを実践するだけで、お山の大将にはなれるんですが、それ以上には決してなれない、ということです。
ちょっと脱線しようか
自動車競技に参戦している頃、私が最初に感じたのは、自分と周囲とのレベルギャップの大きさでした。
もちろん、私が低いところにいて、周りが高いところにいる、という意味です。
だけどやはり、セオリー通りのトレーニングを重ねて、両手にハンドルたこやサイドブレーキたこが見事に出来上がる頃には、そのギャップはとても小さいものになっていました。やがて、上位の選手権に挑戦するようになると、もう一段上の<魔法>を見ることになります。
自分自身も、ほとんど同じことをしているつもりなのに、確実に1コーナーずつ差を広げられる。まったく同じか、時によってはより高い戦闘力のマシンを与えられている情況なのに、同じ走りをトレースできない。競技ドライビングの最高峰にはそういう世界があります。
でも実は、そういう<魔法>というのはただの錯覚で、トップドライバーの操作がより繊細・的確・慎重なだけなのです。
代表的なものでは…よく<つなぎ>という言葉が出てきます。これは、コーナーとコーナーの間のことや、ある区間から別の区間へとコースが切り替わるときの中間的な動作や操作を示したものです。
しかし、こんな風に言葉で書いても、具体的になにが違いを生むのかさっぱり分かりません。<つなぎ>というのは、実はヒトを煙にまくための方便で、本当は単純なことです。
シンプルに云うと、シフトアップがそのひとつです。サーキットでのタイムトライアルにしろ、そのすべては加速運動と減速運動に区分され、一部のコーナリング区間において等速運動が発生するほかは、必ず加速しているか減速しているかです。ここで、タイムアップに貢献するのは、云うまでもなく加速運動をいかに持続させるかです。あるいはいかに早いタイミングでトップスピードにもっていくか、と言い換えることもできます。
つまり、ブレーキングはのんびりやっていても別に構わないけれど(というよりそのほうがいい)、いったん加速姿勢に入ったなら、ほんの少しでも早く、確実にシフトアップしろ!ということです。また、ひとつでもギアが上がったならば、できるだけその<速度域>を維持しろ、という意味でもあります。(これが<迷ったら一段高いギヤを使え!>の意味)
高いギヤを維持してコーナーを抜けることができたなら、半クラッチやクラッチ蹴りや右足ブレーキや微妙なテールスライドを使ってそれができたなら、確実に脱出速度が上がりますし、なにより1回、シフトアップによる加速ラグを減らすことができます。そしてその結果、ライバルに対して僅かながら(タイムにしてコンマ1秒に満たないほど)でも、確実に差を広げることができるのです。もしも、それを全コーナーでやり遂げれば、単純な掛け算でトータルタイムでは1秒近いかそれ以上のビハインドを稼ぎ出すことができるでしょう。それが、いわゆる<つなぎ>の正体であり<魔法>のタネと云えるでしょう。
言うは易し!だよな!
はい、その通り。
現実には<ノーミス>なんてことはあり得ません。オリンピック級のトップアスリートでも、F1ドライバーでも、必ずミスはしています。なぜかというなら、トップはトップなりに、アホか!と思うような挑戦をして、なんとか細い糸の上を綱渡りしているからです。守りに入れば入るほど、その糸は太くなるでしょうし、攻めれば攻めるほど、その糸は単分子繊維というほどの切れ味を見せてくれます。
だからこそ、かつてのチャンピオンがいきなり予選落ちするだとか、実力や実績からは想像もできない惨事を生むこともあります。一度でもチャンピオンになった選手というのは、無理を承知でバカなことを繰り返すだろうし、勝ちたければ勝ちたいほど、意固地なまでにキチガイじみたことに挑戦するでしょう。その結果、不幸にして体や体制がもう整っていないならば、元チャンプは二度と成績に恵まれないでしょうし、そのまま消えてしまうこともあるでしょう。
でも、それってカッコイイ!じゃないですか!
閑話休題
ふぅ、横道にそれ過ぎたかな。
なんだっけ、「花の慶次」だったかな。私、あの漫画嫌いなんですけど、ひとつだけ気になるキーワードがあって「負け戦こそ面白い」みたいな、そんな感じのセリフ。それはとっても正しいなぁ、と思います。
結果的に<勝ち負け>ってついてくるんですけど、勝てる勝負ってのは実につまらないものです。だって、最初から勝っているんですから。その逆に、初出場が全日本選手権みたいな(笑)、まぁ相当あり得ないでしょ!みたいなシチュエーションで、たとえビリから数えたほうが早いような順位がついたとしても、本当にビリだったとしても、それだけ強い相手と<戦った>という実感が味わえたなら、それは数十戦の参戦に勝る経験になるんじゃないかな、と思います。また、それだけ<敵は途方もなく強い!>とイメージできたほうが、諦めて逃げ帰るにせよ、もっと闘志を湧かせるにせよ(ついでに投資も増えるんですけどね)、得るものがあるんじゃないでしょうか。
格闘ゲームに話を戻すと、VF2でラウがやたら同じ事を繰り返す<機関車>とかありましたよね。あれもセオリーです。そして、大半のプレイヤーをハメることができたし、場合によっては大会級のイベントでもそれで勝っちゃうことができました。まぁ同じセオリーでも、とことん突き詰めてるプレイヤーがやると、鉄壁に見えたものです。
で…負けたほうの反応は「えげつないぞ、それ!」とか「このワンパターン野郎が!」とか、他愛もない負け犬の遠吠えなんですよね。
だって<勝つ>ことが大事なら、勝てる戦法を堅持するのは当たり前の話で、それを卑怯モノ呼ばわりするほうがよほど卑怯なんです。もちろん、明らかに弱い相手にそんなことをしていい気になっているヤツは屑の一種であることも間違いないんですが、屑にも一部の理はある、という感じです。
そこでFreestyleですよ!
もともと私にとってのスキーというのは、楽しみでした。
なぜか幼い頃から雪が大好きで、今でも好きなんですけど、雪の上で自由にすっ飛ばせるスキーというのは最高の楽しみでした。
しかしいつしか、競技スキーの道に入ってしまい、なんだか楽しくなくなりました。全員似たようなウエア、全員似たようなすべり、全員似たようなライン、全員似たような言葉…なんか、とっても妙な世界に迷い込んでしまったような気分になっていました。
もちろん、さっきまで書いたように、本当はものすごく違うんです。誰一人、まったく同じなんてことはない。でも、外から見ればその違いはとても分かりにくくて、時には異様なモノにさえ見えてしまう。中にいれば気がつかなかったことに、一度外に出てみると、気付いてしまう。
私の場合、左足に障害を抱えるようになり、それが突如鮮明になってしまいました。
いわゆる<過去の栄光>ですかね。それとかけ離れている現在の自分。挑戦しようにも、全然云うことを聞いてくれない自分の体。本当に見えていたのは多分そういうものです。でも、それでもやっぱり雪が好きなんですよ。
で、当時…Freestyleという概念がもてはやされ始めました。スノボが流行したり、モーグルをはじめとするフリースタイル競技が紹介されるようになったり…。そして、ジャン・リュック・ブラッサールとか、エドガー・グロスピロンとか、もうバカとしか云いようがないトップアスリートが台頭してきました。
なんというかもう<ナニをやっているのかさっぱりわからない!>というほどのハチャメチャっぷり。しかも強い。強いて云うなら、全コーナードリフトで勝つ!みたいな(笑)、まぁさすがにそれはあり得ないんですけど(広い意味では)、そういうモノを大いに感じたものです。
その頃からですかね、再びスポーツが面白く感じられるようになりました。バカなことを実践するために、ひたすら練習したりしました。つまりそれって、誰かに勝つためじゃなくって、自分には<出来ない>っていう現実と戦いたいってことだったんじゃないでしょうかね。誰かに勝ちたいだけなら、えげつなくセオリーを突き詰めればいいだけなんですから。あるいは、自分より<弱い相手>と必ず戦う。それこそが、勝利を確実にもぎ取るための絶対の方法なんですから。
実は…なんでも勝負なんですよ?
こういうバックボーンを持つ私ってのは、なんでもかんでも勝負なんです。
モデリングをしますよね、3DのCGで。スク水コーチを作りますよね、あれも勝負なんです。誰かがDLしてアドオンに突っ込んで喜んでくれればうれしいんですけど、それ以上に、私自身が<作りたい!>って思う欲求を満足させることが勝負なんです。一種の唯我独尊なんでしょうが、クリエイターでそれを持たないヒトがいるなら、それはニセモノだ、と私は思います。
何年前だったかなぁ…初めて上位の大会で入賞しかかったことがありました。そんとき、ランエボIIIに乗っていたと思うから、もう10年は前なのかなぁ。結果的に最後の最後でトチっちゃって、入賞どころかブービーだったんですけど、あれ以上の走りは今のところしたことがないです。もちろん、表に出る順位はブービーに違いないんで、悔しかったですよ。でも、その後に勝たせてもらった経験より、その時の走りの感触が体に残っていることのほうが、ずっと今では大きいです。よく攻めてたなぁ、と自分をほめることができるんです。逆に、普通に勝ってオーバーオールで、2位に2秒つけました、なんて大会のことは、もう忘れちゃいました。つまらないですもん。
PSOの話でもしましょうか。
かつて、チャレ8だったかな。まだチャレンジモード初心者で、やっとのことでステージが進んでいって、その前にC6では何度も全滅していたり、そういう頃です。当然、道もよく分かっていないんで、分かれ道のところで迷っちゃいました。そもそも方向音痴ですし(笑)。
すると、まるでそれを見透かしたかのように、デルセイバーの嵐ですよ(大笑)。別コースを行くPTが「リスタートするかい?」みたく気を使ってくれたんですが、なんかやる気になっちゃいまして…かなり死にそうでしたが、なんとか合流地点までたどりつくことができました。結局その後、マップを覚え、セオリーを身につけ、いわゆるTAとかもできるほど熟練しちゃったんですけど、あのC8を完走したことしかもう覚えてないんです。つまり、私にとっての<勝ち>ってのは、その一発キリなんでしょうね。
究極は「葉隠」とか?www
『武士道と云ふは死ぬ事と見付けたり』みたいな。
↑まぁよく誤解されたり曲解されている文言なんですけどね。ぶっちゃけ、どうとってもいいと思うんです。戦では、後先を考えずに死に物狂いで突っ込んでくるヤツに気をつけろ!みたいな文脈もあったと思いますが、コレは別に特攻を奨励しているわけじゃなくって、曲者に気をつけろ!ってことですよね。で、それを理解しつつ、曲者になってみよう!てな感じでしょうか、私の場合。
PSUだとコルトバズーカですよ。
あんなもん、ほとんど当たらないんですけど、そこがいいんです。ネタ武器?それだけじゃないです。必ず当たるような武器、面白くもなんともないじゃないですか。しかも、当たらない武器を当たるように使う、そのほうが面白いじゃないですか、何倍も。
PTで遊ぶと、ナニかする前に敵が蒸発しちゃうような状況なんで、もうPSUのミッションには行かなくなって久しいですが、それでもたまーに、ソロで、検索にはひっかからないE1キャラ(私はE2メインなもので)で、単独ミッションに行ったりします。そういうときは、もちろん<勝てる装備>で行くんですけど、別に何かを探しているわけじゃなくて、一種の<絶望的な状況を楽しむモード>ですね。ただ、PSUの場合だと、プレイヤースキルではどうしても回避できない状況が多々あるんですぐ飽きちゃうんですけど。
L4Dは、そんな私に初期PSOの快感みたいなものを与えてくれるので、大好きです。もう少しキャラがなんとかならんかな~と思うもので、カスタムMODに精を出したりするのですが、本当によくできたゲームだなぁ、と思います。
ただ私の場合、あくまで面白いのはキャンペーンです。
PTと連携を取り、互いにサポートしながらゴールを目指す、ってのがいいんですよね。多人数プレイするなら、対戦するより多人数Co-opのほうが性に合います。ただ、なかなかフレンドと遊べないんで対戦にも参加しますが、表向きの<勝ち負け>が出ちゃうモードに夢中になるってのは、私には無理っぽいです。
まぁ結局、勝ちたいだけならえげつないことすればいいんです。どんどん挑発して、頭に来てくれれば、それだけミスしてくれるし、キーボードぶっ叩いて落ちるヒトも出るでしょう。格ゲーの対戦と一緒です。ヒトに勝つってのはそういうことで、表向きの勝ち負けにこだわるってのは私にとってそれを徹底的に踏襲することですから、そこに走ったら<負け>なんですよね。
それ以前に…そんなことしてれば嫌われて誰も遊んでくれなくなるでしょうし(笑)、遊びじゃなくなっちゃいますからね。逆に…勝ちたいけどお行儀良くとか考え出すと、萎えちゃいます。勝負ごとがそんな甘いものなわけないし、矛盾してるんです。仲間うちの麻雀みたいなものじゃないでしょうかね。私が最大に苦手なもののひとつです、はい(笑)。アレはまったく知らない他人相手じゃないと、徹底的に立ち回れないからイヤなんです。
最後は…自分で作るしかないんですよね
っと…結局のところ、キャンペーンやミッション<的>なことを遊ぶにしても、PvP対戦<的>なことをやるにしても、あ~だこ~だ議論しているくらいなら、じゃぁお前が作れ!ってことなんだ、と思います。
ただしかし…今回のミューテーションはなんでしょうね。本当に、ガス缶運ぶ順番がついただけなんでしょうか…。なんにも面白くないんですけど…。あと、せっかくDLCで導入された旧L4Dキャラで普通にプレイできないってのも、なんだかな~、と思うんです。おしまい。
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