- 2008-05-09 (金) 19:01
- ギロン | 疑似科学と健康ビジネス
お気楽ネタのエントリはたのしい。書いていても、のほほんとしていられるし、反応があっても楽しくなることが大半だ。
でも、このブログは本来批判的な論調を基本にしている。批判のための批判に終始する気はないけれど、批判せざるを得ないことがあまりにも多いのだ。批判とは、否定そのものではない。ある主張を検証し、そこに嘘や誤りがあれば指摘するということだ。だから結果として、主張を肯定することだって批判のうちだろう。
このブログも「ブログランキング」というのに参加している。自分の書いた記事がどれほどの読者に読まれているのか、どこかの誰かに「有用だ」と判断してもらえたのか、そういうことをある程度知ることができる。それに、アフィリエイトで小遣い稼ぎなどということが本当に可能なのか、そういうことを確認するためにも面白いと思っている。
このブログランキングというサイトには、51万5千件ものブログが登録されている。(2008年5月現在)大した数だ、と思う。
我がブログの登録ジャンルは「自然科学」「PC・オンラインゲーム」「ウェブログ」「イラスト」「健康食品・サプリメント」の5ジャンルで、それぞれに合計100ポイントを割振っている。このポイントの割振り率(パーセントで指定できる)によって、投票ボタンをクリックしてくれた票数がそれぞれのジャンルに分配されてランキングを成立させる、ということらしい。(たとえば自然科学に100%で登録すれば、すべての投票が自然科学のランキングに反映される)
で、ブログランキングで「ご近所」にあるブログサイトには、時折お邪魔して内容を拝見している。それぞれ個性的で、とても面白い。そのうち紹介しようと思っているが、それはまた別の機会に。それよりも、今回は「激戦区」である「健康食品・サプリメント」のジャンル上位にあるブログをいくつかチェックしてみた。最初に結論を書くと「う~む…」である。
ぶっちゃけた感想。
「アホじゃね?」
である。
なんというか疑似科学やガセ情報、信憑性に乏しい健康情報やひどいモノだと完全な嘘、一種のクリック誘導型集客装置に至るまで、アフィリエイトというより商品販売そのものを目的にしているサイトなど、ほぼ無法地帯にしか見えない。まぁ商用ブログ登録OKなランキングなので私も参加しているのだが、それにしてもこれはないよね…というほどのコマーシャリズム。予想はしていたのだが、ちょっと恥ずかしくなる。無論、ランキングを下っていくと「まともな」ブログが増えてくる。しかしなぜ、ランキング上位にはおかしなブログしか存在しないのか?そのへんがどうも不思議だ。
まぁ、上位にある大半のブログが特定の商品(サプリメントや健康食品、健康補助食品など)を「販売することを目的にしている」ため、結果的に「ある食品を食べれば(摂取すれば)健康になる」的主張となっている。その一方で「健康はバランス」とか書いているから失笑ものだが、その次に目につくのが「自然」とか「天然」とか「ロハス」とか「スローライフ」とか、荒唐無稽で無意味なことこの上ないスローガンの数々。キミたちは健康に興味があるのではなくて、お金に興味があるだけだろう?と云う人々が全世界でコンマ何秒かそれ以下の頻度で使うキーワードの数々だ。
そもそも”健康とはなんだ”という定義がしっかりと成されていない。
だから、健康になりたいがために、その欲求に縛られそれがストレス(精神的圧力)となっているようなケースも多かろう。あるいは「ヒトは健康でなくてはならない」という論理命題に束縛され、他者に対して不適切なほど”健康”を煽るケースもあるだろう。そうなってくると、現代社会においての”健康”というキーワードがほとんど「呪詛」であることが分かる。健康ほど魔術的・呪術的意味と用法を持つ言葉もなかなかない。そう、中身なんかなくてイメージだけの言葉なのだ。
また、気になる表現としては「絶対安心!」とか「無害」とか、どういう根拠をもって主張しているのかまるで不明な表現も多い。当然、デタラメ。あらゆる食品について「絶対に無害」だとか「絶対に安心」などと主張できる科学的根拠は存在しない。どこのどのような食品であっても、それを摂取する際には必ずリスクがある。また、なんらかの「薬効」を期待できる「機能」を有するような食品もしくはサプリメントであるのならば、それはつまり「毒性」を持つことと同義でもある。
たとえば「万が一湿しんやかぶれが出た場合、使用を取りやめてください」などと、どこかに小さく書いてあるようなサプリや美容用品がある。ダイエット商材なんかにもあるかな。これ、まったく無害で副作用なしの商品であれば、記載する必要はないはずだ。つまり、無害でも副作用なしでもないのだ。
自然とか天然を強調するのもおかしい。自然だからおいしい、天然だから無害…バカがバカを相手に情報発信している典型だ、と私は思っている。こういう主張を批判するためによく私が持ち出すのは「フグ毒(テトロドトキシン)」の話。猛毒を持つことで知られるフグだが、養殖フグの毒性は低い。なぜかというと、フグ毒はフグが好んで食べる貝類に含まれる毒素が蓄積されたもの、と研究成果が出ているので、この貝類が食べられない環境で飼育されたフグには毒性を持たないか、著しく毒性が低くなる傾向があることが知られているのだ。ただし、毒性の低いフグの群れの中に、元来の毒性を保つ野生個体を混ぜてしばらくすると、群れ全体の毒性が上がってしまうことも知られていて、完全に解明されたとは云えない。これは恐らく、フグ毒を構成する物質が細菌由来であるため、一種の「感染」によって毒素生産機構も伝播するのではないか、などと思われる。
(上記の詳細はこのwikiで)
なんにつけても…自然だから「必ず」おいしい、だとか、天然だから「必ず」無害などという主張は間違いだ。また、そういう主張を行う企業、個人、団体その他の組織は「嘘つき」である。天然モノの「価値」が高いのは、その希少性に由来する。つまりブランドもののバッグや宝石と同じ。十分にそれがいきわたるほど流通すれば、価値はたちまち失われる。つまり相対的なものに過ぎないのだ。(もちろん、限られた食材・食品について天然モノが圧倒的においしいことや高品質であることを否定するつもりはない。その逆だってあるということ)
ついでに、コエンザイムQ10についても、未だにワケの分からない賞賛記事が多く、ほぼ100%が自分たちの推奨する商品を売るためのもの。そもそもコエンザイムは「補酵素」という、生体内で酵素の働きを文字通り「補う」種類の物質。中でも「ユビキノン(UQ)」と呼ばれる物質、さらに「酸化型ユビキノン」を指してコエンザイムQ10とか「ビタミンQ]などと呼んでいる。
ユビキノンがある種の脳脊髄障害の抑制効果や血圧に対する影響を持つことは科学的に証明されているけれど、厚労省によって医薬品として用いられる量は30mg/日を限度としている。つまり、これ以上摂取すれば「なにが起きるか分かりませんよ」ということなのだ。当然、薬品「だった」のだから過剰に摂取すれば害になること請け合いである。増してや健康食品やサプリメントして販売されているコエンザイムQ10なんて、品質も規格も「当社比」の世界。まるでアテにならない。
もちろん、コエンザイムQ10をはじめとする化学物質が無意味だとか効果なしなどと云う気はない。適切に使用すれば間違いなく「なんらかの作用」を人体に及ぼすだろう。だけどそれが100%有用であるかのような宣伝や、どっちもどっちのくせに自社製品が著しく高品質であるかのような主張がはびこり、まさに無法地帯と化していることが問題なのだ。
はっきり云って、ほぼすべての食品に含まれる物質・成分は、摂取量によっては毒となるのが事実だ。でも、この事実はきちんと説明されていない。なんらかの事故があったときだけ、実はその食品には毒性を持つ物質が含まれていた!みたいに「そこだけ」クローズアップする。なぜなら、そうしたほうがニュースとしてインパクトがあるからなのだが、ニンジンをダンボール箱にひとつとか食べればβカロチンの毒性で死ねるかも知れないことはあまり知られていない。これが健康食品だとかサプリメントとなるとなおさらで、科学的根拠に乏しいばかりかトンデモとしか云いようのない宣伝文句が平気で飛び交う世界。なにしろいまだにマイナスイオンまで健在なのだから…。
長くなったので続きはまた書くことにするけれど、「健康食品・サプリメント」のランキング上位をチェックするのは、意外と面白いかも知れないぞ。
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